#10


 季節は巡り、秋。

「秋といえば――やっぱり食欲の秋! バイキング!」
「ダイエットどうなったんだよ」
「うるさいよ、レイジ」

 季節は、移り変われど。

「わたしは。読書の秋かな」
「バイキングは?」
「やっぱり睡眠の秋、一択で」
「バイキングは!?」

 いつもの三人で過ごすことに変わりはなかった。

「芳田、呼ばれてるよ」

 理沙が席までやってくる。

「ん?」
「話があるって」

 理沙が、視線を教室後方の扉に向ける。
 つられてわたし達三人もそっちを見る。

 そこに、照れくさそうに教室を覗いている女の子がいた。

「あー……」
 立ち上がると、女の子の方へ玲二くんが向かう。

 それを見てニヤニヤする、沙羅。

「告白だな」
「えっ……また?」
「レイジにも。人生で一度はあると言われてるモテ期の到来か〜」

 玲二くんなら、一度といわずにこの先どんどんモテそうだけどね。
 なんとなく社会人になったら良さが引き立ちそうな気がするよ。

「玲二くんがモテだしたのって。あの影響だよね?」
「だね」

 およそ一ヶ月前の学園祭で、玲二くんは軍服を着て接客と呼び込みの両方をした。

「他校にまでファンできたらしいよー」
「男前だもん。玲二くん」
「剣道部の試合にもファンが現れるとか」
「うん。男前だもん」
「その男前を振ったんだもんな〜? 花は」