「………」

「もう、嫌なの。大すきな人の死を見送るの、もう……」

嫌なんだ。

「ママや、紅緒様のことは、覚悟してる。……こんな言い方したら、二人は怒るかもしれないけど……」

「わかった」

黎が握る手の力が強くなった。

「鬼人の身であったおかげで身体は丈夫なようだし、それが真紅の『願い』なら、俺が叶えたい」