並んで歩くと、最初の日を思い出す。 いつの間にかすきになっていた、月の下を歩いたあの日。 「……黎に、お願いがあるんだ」 「うん?」 「……ママにも、紅緒様にも、黒ちゃんにも……白ちゃんにも、言ってないことなんだけど……」 「うん」 「……たぶん、黒ちゃんは気づいてて、あえて口にしてないんだと思う」 「黒藤が?」 「……私、何回も、死んだ記憶もあるの」