「あの、黎?」 「うん?」 呼びかけると、黎がこちらを見てくる。 その瞳はコンタクトをしていて、銀ではなく黒い。 「今日……本当に忙しいとかなかった? ママが無理に呼んだみたいだし……」 気にかかっていることを問うと、黎は唇の端を歪めた。 「紅亜様には少し前に言われていたから、ちゃんと時間はある。それに、自分の彼女と一緒の貴重な時間だぞ? ほかに大事なもんがあるわけない」 「……………――――!」 黎の言葉をだんだん頭が理解して、一気に顔が熱くなった。 か、彼女……。