「……え? えっと……黎がいてくれないと、今日の私の予定もなんもないと思う……?」

「じゃなくて。――紅亜様たちと一緒にいるって話だったんだろ? それが急に俺になっていいのか、って……」

「い、いいですっ。黎が、忙しかったり嫌じゃなかったら……」

「うん」

浮かんだ笑みが優しくて、続く言葉は黎の表情に呑み込まれてしまった。

「初めてだな。真紅と一日、一緒とか」

「そ、そうだね。海雨のところとかうちとか、結構逢ってはいるけど」

なんとなしに、並んで歩き出した。