……か、顔背けられた……。

見上げた瞬間に逃げられたので、余計にダメージを喰らった。

……や、やっぱり忙しかったのかな……その中無理に時間作ってくれたのに、とか……あっ、もしかしてママと逢う方がよかったのかな? ママ、可愛いし優しいし……ああっ! なんか修羅場だっ。

主に、紅緒様との。

不安から逃避するように妄想に陥っていると、ふと視界の端で黎の手が動いて、その口を覆った。

「――ごめん」