「……海雨ちゃん、この前、言い忘れたことがあるから、聞いてほしい」

「っ………」

海雨ちゃんはうつむいたままだ。

「この前は、大事なことを言い忘れたんだ。……この前知ったことも、あわせて言うね? 俺は、始祖当主とか、そういうのをひっくるめて存在していた海雨ちゃんがすきになった。……海雨ちゃんさえよければ、俺と付き合ってくれませんか?」

「………」

海雨ちゃんの肩がぴくりと跳ねたけど、変わらずうつむいたままだ。

「……この前返事をもらえなかったのは、ちゃんと好きだって伝えなかったからかなって思ったんだけど……違ってたかな?」

「わたしは」

俺を遮るように、海雨ちゃんが言った。まだ視線は床に落ちたままだ。

「わたしは、何度も生まれ変わって来ました。ですが、伴侶を得たのは、最初のときだけです」