「……………」

「……………」

ベッドに腰かけた海雨ちゃんは俯いていて、ベッドの足元の方に立った俺も、黙ってしまっていた。

まさか海雨ちゃんが影小路の始祖当主なんて思ってもいなかった。

始祖の転生についても、存在を知ってはいたけど、俺には伝説の生き物みたいな感覚だった。

海雨ちゃんの魂が始祖当主、ということまでしか知らない俺に、お嬢さんは面と向かって訊いて来た。

『海雨が何者でも、告白を取り消す気はないか』と。

真っ直ぐだなあ、と感心するしかなかった。

そして、どれほど強い心をしているのか。

お嬢さんは、影小路真紅は、見る間に強くなっている。

過去の記憶が甦り、陰陽師となることをさだめづけられて、今まで生きていた世界とは隔絶した世界で生きることを余儀なくされても、目を逸らそうとしていない。

むしろ、黎と生きるために影小路で生きていく道を選んだほどだ。