「そんな心配のある息子だったら、殺してしまえばよかっただろう。そうすれば始祖たちは転生の檻に囚われることもなかった。始祖当主の命が輪廻の中を巡ってまた生まれても、傍に配置される必要もなかった。始祖の転生も始祖当主の転生も、そんな風に苦しむこともなく普通に恋愛だって出来た」
「簡単に言わないでください! ご当主様が、どれほどの……っ」
私が悲鳴のような声をあげても、黒ちゃんはしれっとしている。
「知ったことじゃないな。何代もあとの子孫まで苦しめる判断を下すなんて、そいつに当主の資格があるとも思えない」
「――黒藤!」
黒ちゃんの厳しい批判を遮ったのは、黎だった。



