泰山府君祭を行い、成功し、死者の血を引いた赤子を得た影小路一族。
黄泉の息が血に混ざったことの危険性を把握した始祖たちは、自らに呪詛(じゅそ)をかけた。
「私は始祖の転生です。始祖たちは、自分たちが犯した禁忌が未来にないよう、影小路を監視するために、お互いの命を転生の檻(おり)に閉じ込めるための呪詛をかけました。
小路流のある限り、必ず始祖の転生が小路に生まれ、監視するために。――私は小路流の監視者です。海雨の友達としてではなく、海雨の隣に澪さんの存在は認められません」
「殺しちゃえばよかったのに」
「―――!」
冷酷な言葉を、なんでもない口調で言ったのは黒ちゃんだった。
蒼い顔をした私が見ても、黒ちゃんは顔色一つ変えない。



