海雨の両親は仕事を抜けてきたようで、どちらもスーツ姿だった。
「真紅ちゃん……ごめんね、学校なのに……」
「そんなこといいんですっ、海雨、今、ここに?」
か細く声の揺れる海雨のお母さんの肩を抱いて、お父さんの方が唇を噛んで肯いた。
手術中の灯りは変わらない。
ただ、私にわかるのは、その奥にある『私のお姫様』の存在。
「梨実さん!」
真紅に次いで来たのは、今この病院にはいないはずの黎と澪さんだった。
「二人とも、どうし……?」
海雨のお父さんが驚きを隠さないで二人を見る。
「父から連絡、ありまして。海雨さん、手術入ったんですか?」
澪さんが問う。
私は舌打ちしたいのを、澪さんの隣の黎の姿を見ることでなんとかこらえた。
黎が、辛そうな顔をしている。



