陽華の吸血鬼➁【一人称修正ver.】【完】


海雨の両親は仕事を抜けてきたようで、どちらもスーツ姿だった。

「真紅ちゃん……ごめんね、学校なのに……」

「そんなこといいんですっ、海雨、今、ここに?」

か細く声の揺れる海雨のお母さんの肩を抱いて、お父さんの方が唇を噛んで肯いた。

手術中の灯りは変わらない。

ただ、私にわかるのは、その奥にある『私のお姫様』の存在。

「梨実さん!」

真紅に次いで来たのは、今この病院にはいないはずの黎と澪さんだった。

「二人とも、どうし……?」

海雨のお父さんが驚きを隠さないで二人を見る。

「父から連絡、ありまして。海雨さん、手術入ったんですか?」

澪さんが問う。

私は舌打ちしたいのを、澪さんの隣の黎の姿を見ることでなんとかこらえた。

黎が、辛そうな顔をしている。