「わ~っ、仔猫って初めて見るわ~っ」

「私も。ちゃんと面倒見るお母さんでよかったね」

百合緋ちゃんたちが到着した頃には、三毛猫は二匹の仔猫を産んでいた。

戸棚の前に膝をついた私と百合緋ちゃんは、並んで猫を覗き込む。

今にも死にそうな息づかいだった三毛猫だが、今は落ち着いて、仔猫を舐めている。

「誰に教えられでもなく赤ちゃんのお世話出来るなんて、すごいことなんだね」

「ほんとね。でも、お母さん猫、美人さんね。仔猫たちも美形になる気がするわ」

「お母さん、顔立ちも毛並みも綺麗だよね。どっかで飼われてたのかな?」

「飼い猫なら、家で出産するんじゃない?」

「普通はそうだよね……。一応、飼い猫かどうか、探した方がいいかな?」

「それなら、涙雨が請け負おう」

言ったのは、黒ちゃんだった。