「白桜って猫、好きだったのね」

「あ、百合姫は知らないか?」

張り切って俺を引っ張る白を見て、ぽつりとした言葉に俺が反応した。

「あんたは知ってるってわけね……。でも、なら飼ってもいいのに」

「それがなー無理なんだよなー」

白に引きずられているから、なんとなく俺の声はやけに間延びしている。

「なんで?」

「すぐわかるよ」

意味ありげな返事をしたけど、母上たちの家に足を踏み入れた途端、百合姫もそれに気づいたようだ。