扉を開けたのは、黎だった。

瞬時に私の瞳が煌めく。

「兄貴。今来たの?」

「今日は小埜の家の用事済ませてた。――っと、真紅?」

「黎! こっち来て!」

慌てて黎の腕を摑んで病室の外へ引きずり出した。

「……真紅ちゃん?」

「あれ? 今の黎さんだよね? なんかいつもと違ってなかった?」

私の突然の行動に、呆気に取られた声を背中に聞きながら。