「わざわざ迎えか?」

「護衛の間違い」

影小路の家から少し離れた曲がり角で、足を停めた。

そこにいたのは弟だ。

架が後から来ていたことは承知していたので、特に驚くことはない。

真紅は気づいていなかったようだが……そういうところ、まだまだ未熟ということか。

「いいのか? 真紅、お前の言ったことに意味、ちゃんと理解してないぞ」

「……兄貴はわかってるって言いたい?」

「誠さんが仕えているのはあくまで影小路一族。それを、次代のお前が『真紅に仕える』って言ったら――とどのつまり、真紅を影小路の当主に推すと言ったようなもんだろ」

見遣ると、架は不敵な笑みを見せた。

「さすが。そういうことだよ」

「そんなことしてどうする。黒藤の出自があれとはいえ、正統後継者としてあるんだぞ?」

架が歩き出したので、俺は渋い顔で並んだ。