「………真紅」

「はい?」

「……いや、なんでもない。取りあえず、今日は帰る。桜城の家からこちらへの接触はないから、そこは安心していい」

「うん。わかった」

「じゃあな。ちゃんと寝ろよ?」

「黎もね」

軽く手を振って、黎を見送った。周囲に民家の少ない土地柄で、今は通行人もいない。

……人がいたら、私明日から外に出られない……。

幸い、黎を見送りに出たとき、紅緒様のことはママが抑えて家の中に留めてくれているので、そこは心配しなくてよかった。

「なんか……色々あったなあ……」

朝からママに嵌められて、黎とデートすることになって、架くんの母親に見つけられて……。