「……黎?」

「うん」

「?」

どうしたんだろう。

抱きしめられているから、互い違いになって黎の顔は見えない。

けれど、黎の声がどこか浮かないのはわかった。

「……なにか、悩んでることあった?」

「……そんなんじゃない」

「そうなの?」

でも、何もなくて黎がこんな態度をとることはないと思う……。

自分の腕を黎の背中に廻した。

「黎」

「うん」

「れーい」

「うん」

「……すきです」

「うん。……ん?」

「なんか、言うタイミング逃してたから……。黎のこと、すきですって」