敷地は竹垣で囲われていて、砂利と芝生で作られた庭。
母家が一つの家が、今の私たちの住まいだ。
「まだ縁側の方があったかいね」
言って、庭に面した縁側に黎を呼んで茶器とお菓子を置いた。
ママは料理上手で、お菓子も得意だ。
少し時間が空くとお菓子も教えてもらっている。
今まで一緒にいられなかった時間を、少しでも取り戻したくて。
縁側に並んで座る。
竹垣がそれなりの高さがあるので、人目は気にならない。
「今日は、お疲れさま」
私が言うと、隣に胡坐をかいた黎は困った顔をした。
「疲れさせたのは真紅の方だろ。……大丈夫か?」
「私? 黎とのお付き合いを反対されなかったから、むしろ調子いいよ」
「……うん」
すっと黎の手が私の背中に廻って、そのまま抱き寄せられた。