「咲雪。大丈夫だから、な?」
諒くんがいつもよりふんわりした口調で
話しかけてくる。
ジェットコースターのときのように
手が差し出され、
大人しくその手を取って立ち上がる。
「おばけはイメージ通りダメなんだな。」
「いろいろ考えちゃって…。」
諒くんはわたしの手を握ったまま進もうとする。
「諒くん…?
手、恥ずかしい…。」
もしかしたら今日が
人生で1番男子と触れている日かもしれない。
恥ずかしいことをさらっとできる
諒くんのせいだな。
学校では琉奈ちゃんが男子との間に
入ってくれるおかげでもあるけど。



