『おっかえりなさ〜い♪

 お忘れ物のないようお願いしま〜す♪』


ふぅ…。怖かったぁ。


すぐに降りようと思ったけど、

体が固まってて動けない。




「咲雪?降りねーの?って、え!?泣いてる?」


「な、ないてないよ…?」



諒くんがバーを上げてくれて、

手を差し出してくれる。



その手につかまってゆっくり立ち上がって

乗り物から降りる。




「ほんとだ。ただ涙目なだけか。

 大丈夫か?」


そう言ってわたしの目元をぬぐってくれる。




え…?


ぬぐってもらってる…??




ばっと諒くんから距離をとり、自分で顔をふく。





恐怖による思考停止状態から抜け出し、

我に返って気づいた。


これ恥ずかしい!!



琉奈ちゃんに顔触られても恥ずかしいのに、

男の子である諒くんに触られるなんて

恥ずかしすぎる!





「ん?どした?」


平然としてる諒くん。



うぅ…。


なんで諒くんは

普通に恥ずかしいことができるんだろう…。