「なぁ、咲雪。」


「なに?」


目の前、わずか30cmくらいに立ち止まる諒くん。



ち、近い…。


けどその相手が大好きな諒くんだから、

嫌ではないどころか心臓がドキドキうるさい。




「オレ、『恋愛感情が芽生えることが

 ないのを知った上で、オレと付き合うか?』

 って言ったよな。」


「え、うん。」


忘れるわけがない、プールでの出来事。




そして忘れたかったけど忘れられなかった、

わたしの暴走もついでに思い出した。


…恥ずかしい。


お互いが水着なのに

よくあんな大胆なことできたな…。


今でも不思議…。




「あれ、撤回していい?」


サイコパス特有の無機質な表情ではないけど、

真剣な顔。