欠けてるあなたが大好きです。


ぷかぷかしていると、だんだん眠くなってきた。



「咲雪?眠いのか?」


「うーん…。」


泳ぐのって体力使うもんね…。


はしゃぎすぎちゃったかな。




「上がるぞ。」


諒くんに言われるがままプールから出て、

視界がはんぶんぼやけた状態で歩く。


諒くんの手がなかったら確実に迷子。





ぺたぺたと歩いて休憩所の個室についたっぽい。


でも視界はぼんやりしてるし頭もぼんやり。



諒くんがなにか言ってるけど、

全然なに言ってるかわかんない。




わしゃわしゃと濡れた体と髪を拭かれて、

パーカーを着せられる。






「…雪。咲雪。歩けるか?」



「うーん…。」


意識が途切れそう。


眠すぎる。




諒くんに手をひかれてまた歩きだす。





だいぶ歩いたところで、

エレベーターの音がして、立ち止まる。


少しして手を引っ張られる方へとまた歩きだす。








「持ち上げるぞ?」


大好きな人の声が聞こえ、体が宙に浮く。



ばふっ。


ふかふかのところに降ろされた。




「よく頑張ったな。寝ていいぞ。」


優しく頭をなでられたところで、

わたしの意識は途切れた…。