少し歩いて、女の人に囲まれてる諒くんの元へ。
嫉妬心なんか1mmもわかない。
だって諒くん完全に相手してないし。
女の人がぎゃあぎゃあ言ってるけど、
諒くんは全てスルー。
触ってきたら、無言でぱしっと手で払う。
ちょっとおもしろい。
カヅキさんが相手だったら
ナンパ成功しただろうに。
そんなことを呑気に考えつつ、
満面の笑みでいつもより高い声を出す。
「すみませんが、
その人わたしの彼氏……なので
離れていただけます?」
次はなんて言おうかな、と考えてるうちに
女の人は去っていってしまった。
あれ?意外にすんなり?
「…オレ、彼氏になった覚えねーんだけど。」
少し下から、いつもの口調の諒くんの声が聞こえる。
「うん。
だからわたしの彼氏になる予定なので、の
"になる予定"を小さな声で言った。」
嘘はついてないし、
あくまで予定だからそうならなくても問題はない。
わたしからしたら問題超アリだけどね。



