欠けてるあなたが大好きです。


「諒くん。」


手を繋いだまま、目をしっかりと見つめたまま。



あなたと一緒に居られて嬉しい

という気持ちを込めた笑顔を見せて、

もう一度。




「わたし、諒くんが好き。」




聞き間違えなんかじゃ済ませない。


…済まさせない。




わたしの心に大きく存在する恋愛感情を、

無かったことにはさせたくない。




はっきりと口にした。





そして、繋いでいた手をほどき、

とっくに治っていた足で地面を蹴って、

少し先にあった流れるプールに飛び込んだ。




諒くんに考える時間が必要だと思ったのと、

認識してからどんどん大きく強くなる

制御不能の想いを抑えきれる自信がなかったから。






冷たい水に包まれて、

先程熱を帯びた左手がひんやりと冷やされる。