欠けてるあなたが大好きです。


「次ここな!」


「波のプールだ!」



ざざ〜んと音が聞こえてきそうな、

海の波を再現したプール。





どんどん奥に進んでいく。



「足つかねーとこ行くのか?」


ずんずん進んでいくわたしに聞いてくる諒くん。



「奥まで行ってみたいもん!」



さっきの流れるプールで感覚つかめたし大丈夫大丈夫!



足がつかなくなっても気にせず進む。




奥まで来ると、とても大きな波が体を襲う。



超楽しい!






調子に乗って波とじゃれていたら

突然、右足が痛くなった。



あ、これ、つった。




なんとも言えない強い痛みが足を襲って、

わたしの全意識が右足にそそがれる。



それによって大きな波にされるがままの状態に。




このままじゃ溺れる…!


そう思ったとき。



「怒るなよ。」



耳元で聞き慣れた男の子の声がして、

体が暖かい何かに包まれる。




そのままの状態でプールから出されてわかった。


これ、世間で言うお姫様だっこですね。





密着した肌の温度が感じられてものすごく恥ずかしい。



しかもめちゃ目立ってるし。




近くのベンチに降ろされてから、

キッとお姫様だっこをしてきた相手をにらむ。



「お姫様だっこはないでしょ!」


「じゃあ足つったまんま溺れて

 人工呼吸される方がよかったか?」


「…。」



何も言い返せない。