欠けてるあなたが大好きです。


もっかい!と思って潜ろうとすると、

ぱしっと腕を掴まれる。


「へっ?」



「へっ?じゃねーよ。

 咲雪1人にしたらオレが怒られる。」


「あ。諒くんのこと忘れてた。」



「おい。

 そんなひでぇこと言うやつはお仕置きだな?」


諒くんがにやりと笑ったのを合図にして。



流れるプールでわたしと諒くんの

追いかけっこが始まった。


すいすい〜と人と人の間を滑るように泳ぎ、

諒くんから逃げる。





少しして諒くんのスピードが急に上がり、

捕まってしまった。



「あ〜あ。捕まっちゃった。」


「十分逃げただろ?」



諒くんが手加減して

追いかけてくれてたのはわかってた。


でなきゃ運動神経バツグンの諒くんから

逃げ続けられるわけないもん。



「ほら。こっから上がれよ。」


階段がついてる流れるプールの正式な出入り口から

諒くんの手をとりつつプールから出る。




触れるのにも慣れちゃった自分に驚きながら、

諒くんが歩いていく方についていく。