「えっ…!」
さっきから隣にいたけれど
あんまり意識して見てなかった。
だから直視した瞬間固まる。
ホテルのエントランス前で見た
ごつめのネックレスをした、上半身裸の諒くん。
運動神経バツグンなのが丸わかりの
きれいに割れた腹筋。
腕にもしっかり筋肉がついていて、
筋肉フェチでもないけど見とれてしまう。
「…咲雪?
固まるのがブームなわけ?」
「…ちがっ!…うけど。」
かっこよすぎる諒くんが悪いよね。
見とれるのは仕方ない。
「…諒くんがかっこよすぎて
見とれちゃっただけ。」
何を思ったのか、無意識に本音をこぼしていた。
数秒間が空いて、諒くんが優しく笑ってくれた。
「ありがとな。
咲雪の言葉は裏表がなくて正直だから好きだ。」
「…軽々しく好きとか言わないでくれますー?
諒くん外見だけはかっこいいんだから、
勘違いしちゃうよ?」
外見だけなわけ、ないけど。
中身だって、すごくかっこいいと思う。
本人は"サイコパスだから"で
何でも片づけちゃいそうだけど、
そんなことはないと思う。
感情がないからって、諒くんは諒くんなんだから。



