Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で

「動揺してるのは見せれない理由でもあるってことか」


龍美さんが目を細めてあたしを睨む。


状況は毎秒悪くなっていく一方。


何か話さなきゃ。


スカートのポケットに入ってるスマホが急に重く感じた。


「…見せたくないわけじゃなくて…今、手元にないので…」


喉が開かず、声が掠れるし、口もパサつく。


けど、龍美さんから視線を反らしたら負け。


目が泳げば嘘をついてることがすぐにバレるだろう。


今スマホが鳴ったらあたしの命はないだろうな…。


そんな最悪な想像をして身震いしそうになる。


「手元にない?」


「勝地さんが持ってくれてた荷物に入れてたので」


嘘はあたしの得意分野のはず。


様々な嘘でいろんな人間を騙してきた。