「…夢か…」


懐かしい夢だった。


ナオに出逢った頃のあたしは純粋だった。


穢れを知らなかった。


初めて人を殺したのは、孝太さんの仇。


あれが初めての仕事だった。


あの頃に比べて随分技術も上がったし、仕事がスムーズになった。


「れい…か…」


隣で眠るナオが小さく呟く。


悪い夢を見てるのか、その寝顔は歪んでいた。


ナオの心の傷は計り知れないものがある。


自分を救ってくれた恩人が殺されんだ。


後日、孝太さんの奥さんは自殺したらしい。


愛する人を亡くすのがどれだけツラいことか。


…あたしはナオを失いたくない。


ナオもあたしを失いたくない。


でもあたしは危険な宮瀬聖の元へ行かなきゃいけない。


「…もうバイバイだね……ナオ…」