翔が玲香に駆け寄ろうと動いてくれた。


パンッ


乾いた音。


ドサッ


玲香のために動いてくれた翔は、ほんの数秒の後、真っ赤な血を流して倒れていた。


龍美さんの拳銃が煙を巻いている。


「翔!!!なんで…っ」


翔に駆け寄りたかった。


でも、この手を離すわけにはいかない。


「離せって言ってんだよ!!」


「離さないって言ってんでしょ!?お願いだからやめて!!もうやめてよ…っ!!」


こうしてる間にも玲香の呼吸は細くなっていく。


翔の血も止まらない。


このままじゃ二人とも死んじゃう…っ。


「離せ…トドメをささせろ…っ!」


聖が無理やり拳銃を持つ手を振り払おうとする。


あたしもそれに必死に食い下がる。


その時だった─。