聖が玲香に銃を向け、トリガーに指をかけている。


玲香の頬に一筋の涙が伝うのが見えたんだ。


その瞬間、何かに弾かれたようにあたしは動き出していた。


聖を突き飛ばそうと駆け出し、聖の方へ飛びながら手を伸ばす─。


でも。


─パァンッ


間に合わなかった。


あと数センチ、あと数センチだった。


空中に投げ出したあたしの体は止まることなく、発砲後の聖に体当たりする。


そのままよろけてゴロゴロ床を転がるあたしと聖。


「くっそ…離せ…!」


幸いにも聖は急所を外していた。


玲香の体からは血がドクドク溢れだしていて今にも死んでしまいそうだ。


それなのに聖は、トドメをさそうとしている。