〝玲香。これは俺の復讐だ。俺の代わりに殺ってくれないか〟


貫田さんの復讐。


貫田さんが敵わない相手にあたしが敵うとは思えない。


けど─。


〝お前は俺にはない武器を持ってる。そうだろ?〟


あたしの武器は身体だ。


身体を使ってターゲットを油断させる手段ならこれまでに何度も使ってきた。


だから身体を使うことに抵抗なんてない。


〝巧くヤツを消せたら報酬は弾むだろうなぁ。ただし…〟


そう。


この先が問題なんだ。


〝ヤツは琴吹(ことぶき)組の人間だ〟


「琴吹組か…」


あたしは一応琴吹組の人間だ。


父親が琴吹組の幹部だから必然的にそうならざるを得ない。


…ようするに、暴力団の世界に生まれたせいで闇の世界の住人になってしまったということだ。