「ヤツを殺れ。これは依頼じゃない。命令だ」


命令として与えられた仕事も過去に何度かある。


けど、今回は相手が相手─。


あの男を殺るなんてあたしにはできない。


「…や…殺る前…にあたしが殺られる…と思う…から。だから…できない…です…」


…貫田さんが怖い。


豹変してしまった貫田さんが…怖い。


穏やかそうな印象を持たせるものは一欠片も残ってない。


野生の猛獣を彷彿とさせる目付きとオーラ。


本当に殺されてもおかしくないほど…。


「できない…ねぇ…。ならお前はもう用済みだ。このまま俺の前から消えろ」


「……っ」


やっぱりこうなるんだ…。


もう仕事を与えてもらえない。