「組の抗争なんざどうでもいい。とにかく宮瀬を殺れ」


「そのことだけど」


今日はこれを言いに来た。


もし言えば今後仕事を貰えなくなるかもしれない。


そう思うと、後に続く言葉が上手く出てこない。


貫田さんの妖しい視線に絡めとられ、ふいっと視線を反らしてしまう。


「あたし─」


「玲香」


そうあたしを呼ぶ貫田さんの眼は氷のようだった。


その氷の中心には赤い炎が灯っている。


そんなゾワリとするような瞳のまま、貫田さんはクイッとあたしの顎を持ち上げた。


嫌でも貫田さんと目が合い、心臓がバクバク暴れだす。


「やめようなんて愚かなこと、思ってねぇよなぁ?」


有無を言わさぬ威圧的な口調。