…宮瀬は本当は優しい人。


冷酷だし残酷だし、恐ろしい人だけど、でも…。


ブブ…ブブ…


宮瀬のスマホのバイブが鳴った。


音が響きやすいこの廊下。


もしかしたら誰か近くにいるかもしれない。


今のでバレてしまったらどうしよう…。


今あたしは貫田さん派の西条組と琴吹組の2組に追われている。


その分敵は多い。


味方は宮瀬だけ…。


「…もしもし」


電話に出る宮瀬の声は少し固い。


「まだ見つかってないっす。家の周辺にはいなかったです」


あたしの話かな…。


敬語ってことは相手は城田さんじゃない。


「あっいや、わざわざ龍美さんの手を煩わせるわけには─」


龍美さん…。


その名前に心臓がドクンと跳ね上がる。