組内に不穏な空気が流れてる。


そう聞いたのは10月に入ってすぐのことだった。


宮瀬が勝地さんにコソっと話してるのを偶然聞いたのだ。


あたしと宮瀬の関係はもう修復されることはないのかもしれない。


あの夜を境に目を合わすことも話すこともなくなった。


宮瀬の仕事を手伝うこともなくなった。


城田さんが家に来ることもなくなったし、沙耶が城田さんの話をすることもなくなった。


冷えきった空気が毎日家に流れ、平坦な毎日が繰り返される。


前ほど刺激が欲しいと思わなくなった。


昔は仕事をしてないと刺激が足りず、ウズウズしていた。


でも今は違う。


もう誰も殺したくない。


大切な人を殺されるツラさを、苦しさを知ってしまったから。