「…今日だけでもいい…。1歩踏み出さなきゃダメだよ、玲香…」


…もう1ヶ月。


こんな風に引きこもってても何も生まないのは知ってる。


ナオもきっとこうなることを望んでない。


でも…。


「…ごめん」


人に会いたくない。


沙耶に会いたくない。


「そっか。じゃあご飯ここに置いとくから」


カタン…とお盆が床に置かれる音と、去っていく沙耶の寂しい足音が聞こえた。


その足音が完全に聞こえなくなったのを確認してから、ドアを開ける。


「…なんで…」


ご飯と共に廊下に居たのは宮瀬だった。


「こっち来い」


あたしがドアを閉めるよりも、宮瀬がドアを全開にする方が早かった。


「行かない」