「玲香…返事してよ…」


ドアの向こうから沙耶の震える声がする。


沙耶はあたしを城田さんから守ってくれた。


城田さんのことが好きなのに、だ。


感謝すべきなのは分かってる。


でも、顔を合わせたくない。


顔を合わせれば沙耶を裏切ってしまった罪悪感で心が押しつぶれてしまいそうで。


沙耶と引き換えにナオは殺された事実もあたしを苦しめている。


もしあのとき、ナオが沙耶を解放しなかったらナオは殺されずに済んだかもしれない。


嫌でもそう考えてしまう。


そう考えてしまう汚く醜い最低な自分が憎い。


「…玲香、ご飯食べようよ。一緒に食べようよ」


今日はいつもよりしつこい。