「離して!!」


どれだけ暴れても、ナオとの距離は開いていく。


どんどん、ナオが小さくなっていく。


「ナオ…っ」


手を伸ばしても届かない、声を出しても届かない。


そして、見えなくなってしまったんだ。


「ナオ…」


撃たれた瞬間の光景が鮮明に思い出される。


城田さんがあたしからナオへ狙いを変えてすぐ、止める間もなく彼は撃った。


何の躊躇いもなく、ナオを殺した。


血飛沫が舞い、ナオが崩れ落ちる。


あたしは何もできなかった。


ナオを守ることができなかった。


何のために護身術身に付けたり、殺し身に付けたりしたんだろう。


ナオを守れなかったら何の意味もないのに。


首もとのネックレスが妙に冷たく感じる。


このネックレスは思い出の物から形見へと姿を変えてしまった。