「あんたはあたしの何を知ってるの?何も知らないじゃん…っ。あたしがどれだけナオを愛してたか…知らないじゃん…!偉そうなこと言わないで…っ」


偉そうなこと言うくらいならナオを返してよ…っ。


あたしが大好きだったナオはもう帰ってこない…っ。


何を言われても、何をされても、戻ってこない。


「…知らねぇよ。でもお前が価値ある人間だってことぐらい分かってる」


「……っ」


何を言われようがここから動くつもりなんてない。


ナオから離れない。


「帰るぞ」


「嫌だって言ってんでしょ」


すべての恨みを込めて宮瀬を睨み付けると、彼はため息をついてあたしの身体を持ち上げる。


「やめてっ」


ナオの前でお姫様だっこなんてしないで…っ。