Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で

下手に動けば沙耶が殺される。


ナオは殺さないと保証してくれたわけじゃない。


沙耶の命が危険なのは変わりない。


「俺らが手を引くと言えば─」


「その前に」


宮瀬の言葉を遮るように声を張った城田さん。


その目は氷のようだった。


さっき弾がかすった左手が痛む。


「この状況はおかしすぎる。始めからずっとおかしかった」


城田さんは気づいてるんだ。


全部…。


…どこに穴があった…?


どこで失敗した…?


いつ、バレた…?


カチャ…


城田さんの拳銃はナオじゃなく、あたしを狙っている。


「…兄貴」


とんでもない緊張感が倉庫に充満していて呼吸が苦しい。