「じゃあ、行ってくる。迫田、絶対付いてこないでよ?あたしのボディーガードは玲香だけで充分なんだから」


「かしこまりました。汐美さん、よろしくお願いします」


なんとか迫田さん無しで出掛けるよう仕向けることに成功したあたしは、何も知らない沙耶と車に乗り込む。


迫田さんは屈強な面持ちだけど、案外いい人だ。


勝地さんと違い沙耶の自由を尊重してくれている。 


勝地さんは勝地さんで宮瀬に逆らえないだけだろうけど。


「ホントは勝地も付いてきてほしくないんだけど」


沙耶がチクリと言うも、勝地さんはスルーだ。


あくまでも主人は宮瀬聖という認識なんだろう。


今日、このあとあたしは沙耶を裏切って拉致させる。