Hate or Love？愛と嘘とにまみれた世界の片隅で

宮瀬は器用にナイフをクルクル回しながら拳銃を突きつける。


狂気じみた雰囲気が扉越しでも伝わってくる。


「…殺そうとなんかしてない」


「あ？それを決めるのはこっちなんだよ。あれは殺人未遂だ。違うか？」


ナイフを振りかざし、犯人の顔面スレスレで止める。


一歩間違えれば顔面はグチャグチャだ…。


「聞き方を変えてもう一度だけ聞く。沙耶を故意に突き落として殺そうとしたのはお前か」


目と鼻の先に危なく光るナイフがあるんだ。


誰だって頷くに決まってる。


「もし違うなら違うって言えば言い。俺がお前を当てずっぽうで選んだだけかもしれないからなぁ」


あの時彼にだけ一ミリも触れなかったのはここまで無傷で連れてきて、じっくり痛め付けるためだったんだ。