Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で

こういうふとした瞬間に先が見えない不安を感じる。


明日生きてるのかどうかも分からない。


不安、恐怖、いろんな負の感情が襲いかかってくる。


「その水着、絶対聖喜ぶよ」


ニヤニヤしながら言ってくる沙耶は、きっとあたしと聖が付き合ってると思ってるんだろう。


沙耶はわりと純情な女の子だ。


この世界にはもったいない。


「そういや聖、小さい頃エスカレーター乗れなかったんだよね」


下りのエスカレーターに乗り込みながら沙耶が笑った。 


「あんな奴でも子供時代は可愛かっ─」


─ドンッ


突然、沙耶の体が宙に投げ出された─。



「沙耶っ!!」


鈍い音を立てながら沙耶が転がっていく。