Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で

低い声で静かに脅す宮瀬。


声を荒げるよりずっと恐い。


何を考えてるか全く読めず、脅しじゃなく発泡してもおかしくない佇まい。


あたしならこんな状況耐えられない。


「…要求ってなん─」


「玲香、拳銃持て」


突然宮瀬があたしに拳銃を押し付けてきて、次の瞬間にはあたしの背後で呻き声がした。


何が起きたのか脳が追い付かず振り向きたかったけど、それを我慢して総長に銃口を向け続ける。


「たかが暴走族の襲撃で俺がやられると思うな」


背後で宮瀬が誰か殴る音がする。


そして、ドサッと倒れ込む音。


総長と話してる間に残っていた下っ端か、幹部が数人背後に回っていたらしい。


それに勘づいた宮瀬があたしにと拳銃を代わり、対処してくれた。


つくづく思う。


本当に彼はすごい。


背後に人がいるなんて気づかなかったし、気づいてもこんな一瞬で対処できない。