Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で

あたしはとんでもない男を敵に回してるのかもしれない。


誰よりも強く恐ろしい男…。


「お前が総長か」


宮瀬は、ナイフをポケットにしまい、銃口を総長に向ける。


あたしたちと総長の距離はおよそ三メートル。


彼があたしたちに危害を加えようとしたら、先に弾丸が彼をぶち抜くだろう。


「……なんだよお前ら」


宮瀬のただならぬ雰囲気を感じ取ったのか、つい数分前の威勢は欠片もなかった。


「安心しろ。下の奴らは誰も殺してない。一人目はお前だ」


「は?」


総長の表情は、語気とは裏腹に弱気だ。 


「俺の要求を飲めば今日の犠牲者はゼロだ。飲まないのなら、死ぬのはお前だ。もしかしたら下の奴らも数人巻き添え食らうかもしれないけどな」