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どういう意図で付け加えたのか分からない沙耶の一言がずっと頭をぐるぐる旋回している。
あたしと出会ってからの宮瀬が楽しそうなんて、意味がわからない。
「玲香行くぞ。さっさと出てこい」
部屋の外から宮瀬が急かす声が聞こえる。
動きやすくて顔もある程度隠れるフードつきのパーカーを羽織り、ポケットにスマホを入れる。
太ももにナイフを固定し、ポケットに予備の小型ナイフも忍ばせる。
相手はたかだか暴走族だし、拳銃は必要ないだろう。
部屋を出ると、出会ったときと同じような格好をした宮瀬が腕組みをして壁に持たれていた。
全身真っ黒の服に身を包み、フードを深く被っていて、いつもより危険なオーラが増している。



