なんとも言えない微妙な空気が流れてる和室に、沙耶の澄んだ声が響いた。


「別に伝える必要ないだろ」


「冷たー。ちょっと話そ?」


沙耶は城田さんのことが好きなんだ。


沙耶の表情や仕草を見てすぐわかる。


恋してる女独特の雰囲気が隠し切れてない。


「もうちょっと玲香ちゃんと話したかったんだけど」


たぶん城田さんは沙耶のことは友達としてしか見てないんだろうな。


それも雰囲気でわかる。


何度か色恋沙汰に巻き込まれたことがあるせいで、なんとなくそういうのがわかる体質になってしまった。


「もうっ。いいから行くよ」


沙耶は強引に城田さんの腕を引っ張って部屋を出ていってしまった。