ちらりと浅黄さんの方を見る。

「……いま、すね」
『すぐ行きます』
「はい……」

仮眠室から逃亡したって言っていたし、菊池さんは探し回っていたのだろう。

浅黄さんが身体を起こして、伸びをした。
わたしのカフェラテを持って飲み干す。

「すぐに菊池さんが迎えに来てくれるそうです」
「仕事が速いな……」
「わたしも休憩終わるので」
「じゃあ行くか」

トレーを持って浅黄さんが立ち上がった。
わたしもコートを着てからその背中を追う。

店を出るとやはり寒い。少しだけ浅黄さんが顔を顰めた。