金土の夜は、当直が入らない限り、俺は一人で彼女のいるトルコ料理のレストラン゙サライ"に通った。

彼女はいつも俺を見つめ、妖艶な笑みを浮かべて艶やかに舞う。

けれど…その視線は舞台にいるときだけ向けられる。

一歩舞台を降りれば二度と目が合うことも、微笑まれることさえもないのだ。

ひと月通い状況はなにも変わらない。

相変わらず彼女は今日も俺を見つめて踊り、その妖艶な舞いに俺は酔いしれる。

話したい…触れたい…君を知りたい…。

ステージが終わり、はぁと深いため息をついていると、オーナーが近づいてきてこそりと耳打ちした。

「30分後に裏口から帰りますよ」

「ありがとう」

小声で礼を告げて席を立った。
彼女を待ち伏せするために。